第2回コミュニケーション・リーダーシップ分科会報告
〔3月13日、会場:ビーコンコミュニケーションズ〕
ビジネスに貢献するために、社員のエンゲージメントを高めるために、
キャリアマネジメントに関するHRの課題
アメリカ人材コンサルタント、ウィリアム・マーサーのコンサルタントが著したキャリアマネジメントに関する最新の記事「Rethinking
Careers to Enhance Business Performance」をテキストにして、3月の分科会が実施された。HRがビジネスに貢献するために、社員のエンゲージメントを高めるために、「キャリアマネジメントとして何に取り組むべきか」ついて、筆者がコーディネーターになり、ワークショップ形式で実施し、参加者14名は熱心に議論を行った。また、8時半以降はイタリアレストラントでワインを飲みながら、懇親を深めた。
キャリアマネジメントに対し、今までと異なったアプローチが必要
ウィリアム・マーサーのコンサルタントはHRのキャリアマネジメントが給与、トレーニング、採用など各々のサイロの中で議論されて、システム思考を欠落しており、小手先の手直しで今日に至っている事を指摘し、今までと違ったアプローチとして次の3つの考え方を提示した。
Take a Systems Perspective - キャリアマネジメントは組織のビジネス戦略、総報酬戦略、人材戦略といった大きな枠組・視点の中で検討されるべきである。
Get the Right Facts - 自社のHRISやその他のデータを使い、綿密な分析をする事によって、どのようにキャリアが組織の中で展開されているか、そしてビジネスにどのようなインパクトを与えているかを知ることが出来る。
Actively Manage Change - キャリアへの新しいアプローチは既存プログラムへの小手先の手直しではない。態度、信念、及び行動における変更をも伴い、マネジメント・社員からの理解・支持、彼らへの適切なコミュニケーションが必要である。
そもそも「キャリア」を日本語で定義してみよう
私たちHRの人間のみならず、最近では一般社員までもが、いとも容易にキャリアという言葉を日常的に使っている。しかし、このキャリアという言葉を正確に定義する機会やその必要が案外少ない。そこで、2つのグループに分かれた参加者はまず、「キャリア」を日本語で定義することにした。
Merriam-Webster 2003によると 「A career is a field for,
or pursuit of, consecutive progressive achievement,
especially in public, professional or business life」と定義されている。これを下敷きに各グループは議論を展開し次の発表を行った。
Aチーム:
1)仕事を通じて獲得するもの、2)専門性のあるスキル・経験、3)時系列的に積み重なったもの、4)達成された実績であり、他の人たちから評価されているもの。
Bチーム:
1)仕事の軌跡〔アナロジーとしては川の流れのようなもので、後に戻ることは無い〕、2)やりたい事を実現するまでの道のり、3)誰にでもあるもの、究極的にはやりたいこと、4)将来の展望を持ち専門性の追及の道程、5)意識する、しないにかかわらず身につくもの。
ちなみに法政大学の川喜多喬教授によるとラテン語におけるキャリアの語源は「馬車」(carrus)、「馬車道」(carraria)とのことだ。
社員のエンゲージメントを高めるために、どのようなキャリア施策を検討すべきか?
マーサーが米国で実施した「2005 What’s Working Survey」によると社員のエンゲージメントのドライバーであるトップ10の要因の中で6つまでがキャリア関連のものであることが報告されている。そこで、次のタスクとして、各チームはこれら社員がキャリアに関連して希望する6つの要因(注)について、「会社として社員のエンゲージメントを高めるために、キャリア施策として、どのような仕組み、制度、プログラム、環境を提供すべきか」ブレーンストーミング゙を実施した。時間的制約がある中で両チームから出されたアイデアは下記のとおりである。
・会社のビジョンを明確にし、社員に伝える
・社員に何を期待するかを明確にする
・会社のキャリア施策や仕事に関連する情報を分かりやすく伝える
・評価のプロセスを明確にする
・社員が興味を持つ事に従事させる機会を提供する
・キャリアの自律意識を持たせるために上司と社員の対話を促進させる
・ハイ・パーフォーマーにどのような施策〔サクセッション・プラニングなど〕を優先的に実施するか検討する
・社員一般をも対象にした施策も実施することも大切。社員のキャリアに関するデータベースを完備する
・キャリア諸制度(評価制度、フィードバック、育成プログラム、Jobローテーション、社内公募、複線型キャリアなど)そのものをもっと整備すると共に、その効果的運用にももっと力を入れる
注:キャリアに関連して社員が最も希望する6つの要因
1)自分の長期的キャリア目標を達成できる
2)個人として達成感が得られる
3)自分が成長し、自分の実力をつけることが出来る機会がある
4)自分のキャリアを発展させ、管理するために必要な情報や支援が得られる
5)自分のスキルを伸ばすために継続して学習する機会がある
6)チャレンジングで、興味ある役割・課題に従事するチャンスのあるJobである。
パフォーマンス・マネジメント研究所 野尻賢司