2008年09月23日

バターの話



地元で有名な実業家がとあるレストランに行ったときの話です。

コース料理を注文した後、ワインに悦に入っていた実業家の元に、パンが配られた、そのときのことでした。

「おい、バターがないぞ!パンーといったら、当然バターだろ、早くもってこい!」

レストランの常連で、オーナーシェフとも親しく、地元で力のある実業家らしく、かなり横柄な態度でした。

実際怒鳴られている相手は、数日前に入店したばかりの新人ウェイター。

周りのテーブルのお客さんも、この顛末はどうなるのか、興味深々で見ています。

震え上がって、バターを取りに即座に走るかと思いきや、その新人ウェイター君、実業家の怒鳴り声が、まるで聞こえていないかのようなそぶりを見せています。

「おい、早くしろよ!オレが誰だと思っているんだ。のろのろしやがって。お前なんかクビにすることくらい、なんてことはないんだからな!」

ただ現場では、バターはまだ事業家のテーブルに届きません。

「俺を誰だと思ってるん・・・」

まだ話が終わらないうちに、新人ウェイター君が事業家の話に割り込みました。

「他のお客さんから、バター追加のリクエストがあったため、今、バターを切らしています。倉庫にあるバターを取りに行かなければいけないので、しばらくお待ち・・・」

今度話をさえぎるのは、事業家のほうだった。

「早く!今すぐ行けよ、今すぐ!オレを誰だと思っているんだ!オレは・・・」

新人ウェイター君は、またも話をさえぎって、こう言ったのでした。

「お客さん、バターのありかを知っているのはこの私。事業家でお店の常連のあなたでもバターのありかは知らないでしょう。だから、まずはしばらくお待ちいただけませんか。」



これは極端な例かもしれませんが、会社のコミュニケーションって、こんなことが意外に多いなあと、ふと思うことがあります。相手の人をRespect しないままに、色々とリクエストを出すことが、いかに無意味であるか。そして、どんな仕事でも、現場にいる人が一番、ものごとをわかっているということも。






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