金融ショックから1年が過ぎた。人材紹介ビジネスを大きくしようと奔走してきた経営者たちは、効率化とマニュアル化を進め、単純労働を繰り返す、未熟な人材コンサルタントを量産。大量の 求人案件と転職志望者を一堂に集め、効率重視のマッチングマシーンで作業をこなして、目標と する売り上げアップを実現してきた。 それが100年に一度という景気悪化にみまわれ、企業の求人数は半減とも8割減ともいわれる状況 となり、一方で転職希望者数は倍増。一部の優秀層は様子見に入り、転職市場から一時撤退。 求人数が大幅に減っただけではなく、一つ一つの募集要件が厳しくなり、採用のマッチングの難易度 があがった。
ビジネスを大きくできなくなった人材紹介会社の経営者は、何をしたか。売り上げ増をあきらめ、何とか利益の確保に急展開。つまり、もともとコスト削減の余地があまりない人材紹介ビジネスであるから(そもそもコストをあまりかけていない)、経営者はすぐに雇用に手をつけることになる。
そうして経験が浅いコンサルタントから順番にリストラが始まった。ベテランでも、この3ヶ月、もしくは 6カ月成果が出ていない人は同じ扱いを受けている。この結果、コンサルタント数は半減したという。 会社の合併や買収、外資に至っては日本からの撤退、廃業したケースもあった。
人材紹介会社の新規雇用はほとんど皆無だから、半減したコンサルタントの多くは廃業、もしくは他業界への転職に追い込まれた。かろうじて同業他社に籍を移したコンサルタントも、新しい会社の環境で成績が振るわず、新たな失業への不安が募る。 人材派遣会社の人材紹介部門の場合、縮小する中で人材を人材派遣部門に回している。再就職 支援部門をもつ会社の場合、そちらにも人材コンサルタントは回されている。 人材コンサルタントのコミッションの内容にも変化が目立つ。いったん解雇され、フルコミッション に移行した会社も少なくない。またコミッションの支払いが遅れているというトラブルの話も多い。 世の中の雇用が崩れているのが大きな問題となっているが、それと同じくして、人材コンサルタント 自身の雇用も同様に厳しくなっているのだ。 人材紹介会社の中には、同業他社に電話を繰り返し、求人案件と転職希望者の情報を相互に 共有しようと持ちかけるアライアンス希望も増えている。ただ残念ながら、アライアンスには、さまざまな困難が伴い、結果を生んでいるアライアンスはほとんど皆無という。
人材紹介ビジネスは、スモールビジネスでなければならないと思う。それに反した動きをすることは、結局、顧客ニーズを後回しにすることになり、その結果評判を落とし、かつ市場からも消えていくのだろう。人さまの転職をネタに商売をしているというだけで、そもそも人材紹介会社をあまり快く思わない人も少なくない。人材紹介ビジネスを効率化によってビッグビジネスにしようとする発想がこの業界のサービス劣化をもたらしてきた以上、この景気後退をよい機会に、そうした動きは今後、一掃されてほしいと願う。