リクルーティング業界には、よくあるトラブルがあります。リクルーターならば誰もが一度は経験したことがあるはずですが、今回、後輩のリクルーターが初めて経験したということで、相談を受けました。候補者の方に、「そんな求人に応募した覚えがない!」といわれてしまったというのです。
これはようは「言った、言わない」という話であり、メールなどでしっかりとした記録をとっていなかったことがうかつではあったのでしょう。一方、求人を紹介し、本人の応募の意思を確認した上で採用企業に提案することが日常業務であるリクルーターにとって、このような基本的なミスを行うことは珍しいことです。
そこで「応募した覚えがない」という候補者を前にしたりクルーターは、こうしたときにはどのように対処すべきででしょうか。また一般に、ビジネスマンの方々は自分がこのような立場になったら、この出来事をどう感じるでしょうか。まずはその事例のご紹介から。
*事例*
ある外資系メーカーに人材を紹介。例によりレジュメを送付。候補者の経歴はいいものの、もう少し若い方をという理由で却下。残念ながら縁がなかったと本人に伝えたところ、候補者の方は、「自分の経歴にあう某職種の採用ニーズがあるかを確認してほしい、と依頼をしたまでで、名前入りのレジュメの送付を承諾した覚えはない」との事。確かに過去のメールの履歴を見ると、「応募させてください」という文は見当たらず。ただ後輩のリクルーターの頭の中では、いろいろなやり取りの中で、候補者本人がその会社に興味を持っていたこともあって、どこかで「応募」という解釈に切り替わってしまったようです。その候補者の方は、あわせてすでに後輩のリクルーター経由で応募していた他社より、今回求人のニーズを聞きたかったというそのメーカーの方が志望順位が高いというようなことをいっていたことがあったため、後輩リクルーターは、「関心高い=応募」となったといいます。この候補者の方は、運が悪くかなり難しい人で、きつい文章でクレームをつけてきたといいます。
リクルーターとして、「候補者本人の了承をとって書類選考」、ということは鉄則としてきっちりやってきた後輩のリクルーターは、これまでも過去に何のトラブルもなかっただけに、今回のことはあきらかに誤解を生んでしまったと落ち込んでいました。
さて人事部長さんのお立場、もしくはビジネスマン個人として、皆さんは、どのような意見を持ちましたか。採用の現場では、このように複数の初対面の方同士がはじめてコミュニケーションを取るため、色々な誤解が生まれる可能性を秘めています。それがゆえに、トラブルが生じそうなポイントについては、これを良い教訓に、私たちリクルーターは細心の注意が必要なのでしょう。
一方、転職活動中の方がリクルーターと付き合う際に、上手にコミュニケーションをとることも、ご本人にとって得策であることは間違いありません。誤解が生じるたびに、リクルーターとけんかをしていては、その方の転職活動にも支障が生じるでしょう。
コミュニケーションというのは、もともと難しいものです。コミュニケーションをとる際には慎重に取り組むことを心がけたいと、この後輩リクルーターの相談を受けながら、身が引き締まる思いがしました。ちなみに後輩リクルーターには、自分が誤解をしてしまった経緯を相手に丁寧に説明の上、まずはお詫びし、できるだけ早く、別件の求人の話に話を移し、そちらの求人でベストのサポートを心がけるように、とアドバイスしました。