英国の著名な調査機関EIRISの2005年度調査によると、日米欧主要国の上場企業の取締役会での女性の割合は下表のとおりです。
| 国名 | 取締役会での女性の割合 |
| Norway | 26.2% |
| USA | 12.7% |
| Canada | 11.1% |
| Germany | 8.0% |
| UK | 7.5% |
| France | 6.4% |
| Swiss | 6.0% |
| Austria | 5.8% |
| Italy | 2.6% |
| Japan | 0.6% |
上位のNorway, USA, Canada, UK などはほぼ予想がつきますが、なんと日本が1%にも達しないとは、、、、あまりの格差にショックをうけます。欧州諸国の歴史と伝統、あるいは女性活躍の場に恵まれた米国、カナダなど、それぞれの国の背景を考えればもっともなのかもしれませんが、、、、
話が飛びますが、偶々先月(10月)に厚生労働省関係の機関である雇用・能力開発機構(独立行政法人)の経営する職業能力開発センターで、外資系企業への就職チャレンジャーの多いクラスで「国際経営と人事管理」(大げさなタイトルですが)というテーマの講師を委嘱され、3日間フルに話をする機会をもちました。 30人限定のクラスで多数の応募者から選考された生徒さんのうち25名は女性(平均年齢30歳代半ば)でしたので、話題の1つに上記のEIRISの調査結果をあげ、日本ではなんでこのように女性取締役が少ないのか? この傾向を改めるには何が必要か? についてgroup discussion の場を 設けて討論をしてもらいました。 日本で今話題の「夫の育児休暇取得促進」などに期待する意見など、種々の環境整備の必要性が述べられましたが、なかで注目されたのは 「女性が取締役などに抜擢されたときに、その職務をまっとうするために最も欠けているのは、よき助言者、 メンター(mentor) の存在であること」という発言でした。
たしかに女性が男性候補者を何人も抜いて取締役に抜擢された場合、周囲(男性女性をとわず)からのジェラシーが起こるでしょうし、本来その女性取締役を助け、適切な助言をしてゆくべき男性社員が現れにくい(あまり熱心に接触すると周囲からつまらぬ誤解を受け易いなどの理由で)のも事実と思います。しかしgroup discussion のなかでのある女性の発言の中に、「女性として取締役に選ばれたからには、男の社員にはない、女性自身の新しい発想で仕事に取り組んでみたい」という気持ちが生まれ、それが結果的にうまくゆかず成果があがらない、、、、こともあるのではないか? というコメントがありました。
それで思い出したのは、かって米国ヒューレットパッカード(HP)社の著名な女性会長(兼CEO)のカーリー フイオリーナ(Cary Fiorina) が2000年台はじめPC分野でコンパック社(Compack) を買収し、従来のprinter 分野から、大きくPC分野の拡大を図った結果、PCの過当競争を招き業績が急速に悪化し、彼女は退任のやむなきに至ったこと、その際米国マスコミの報道によれば、彼女のコンパック買収は本人の強い意志で進められ適切な助言をするmentor に恵まれなかったとされていました。 これなどは上に紹介した日本人女性のコメントを裏書する事例といえるかもしれません。
いまや日本でも男女雇用機会均等法が実施されて久しく、女性取締役の出現も当然視されてしかるべきでしょう。 ただ法的な整備はされてもなお困難が取り除かれないnegativeな背景があるとすれば、いかにこれを排除してゆくか、、、日本のビジネス社会が真剣に考えなければならない時期に来ているのではないでしょうか?
松田弘