2008年05月25日

日本の意外な労使不平等さ

 皆さん、お仕事がら労働基準法など日本の労働法規にはお詳しい事と思います。
 また外資系企業のHRMでいられる関係で、労働法規の内外比較(欧米諸国との比較)
も随時されていることとでしょう。

 今回、たまたま機会があって日本の労働法規、とくに労働基準法のポイントをある外資系
企業の外国人役員へお話しする場がありました。いろいろとありましたが、日頃さほど意識
していなかったポイントで意外な内外格差を感じる点がありました。以下それをお話しします。


 1つは会社都合、自己都合による離職の予告期間の違いです。日本では労基法20条1項で
会社都合による場合は30日(または30日分の平均賃金支給)ですネ。(別途労働契約法16条
により客観的・合理的で、社会通念上の相当な理由)。これに対し自己都合退社(労働者側
からの離職申し入れ)は、民法627条の規定から14日間の予告が適用されることになります。
本来期間の定めのない雇用の解約は、労使ともに14日間の予告なのですが、民法に対する特別法
の位置づけがされている労基法が優先し、会社都合の場合は30日の予告が必要とされるわけです。
これは欧米諸国の例から見ると異例で、どうして? という疑問がわくようですが、日本の「労働者
雇用条件保護」の基本思想がいきているものと思われます。

 次に「試用期間」中の雇用解約ですが、これは個々の契約で異なりますが、外資系企業の場合は
試用期間中は「原則、労使ともに期間中または終了時に解約可能」とされている場合が多いよう
ですが、日本の法規では「会社側は14日を過ぎれば、以後試用期間中といえども30日の予告が
必要、それに対し労働者側は試用期間中いつでも14日の予告で解約可能」となっています。
今回の外資系企業の外人役員向け説明で、この点の「労使不平等性」、日本独特の「労働者保護
思想」があることが意外に感じられているように見うけました。戦後まもなく制定された日本の労働
基準法(昭和22年施行)では、当時諸外国からみて日本の労働条件が労働者に不利で、cheap
labor として批判されていた国際環境にかんがみ、労働者優遇条件が採用されたこと、その後今日
まで何回か法改定はおこなわれたもののその基本思想は変わっていないことを改めて痛感しました。

 最後になりましたが、PMCでのご縁で今回欧米の役員がたとこのようなお話をする機会をおつくり
いただいた会員の I さんに 心からお礼を申し上げます。

 松田 弘 (社会保険労務士) 

コメントを投稿